【天保擾乱・寄り道編】北浜散歩:鉛白

今回は、番外(寄り道)編。博識の中斎大塩さんもご存じなかったかも(必要なかった!?)しれないお話です。
大塩事件研究会 2025.11.30
誰でも

京阪なにわ橋駅構内・アートエリアB1で絶賛開催中の「天保擾乱」パネル展、ご覧いただきましたでしょうか。まだご来場でないお知り合いの方がいらっしゃいましたら、お知らせいただけると嬉しいです。

会期:2025年11月20日(木)〜12月14日(日)

開館時間:11時〜18時(最終日は14時まで)

休館日:月曜日(祝日の場合も休館)

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先日、アートエリアB1から南、堺筋本町方面へぶらぶらと歩いていると、ある展示会場に辿り着きました。

そこで、標本・資料の数々にであい、驚き、感動しました。その感動をみなさまと共有したくて、「人が繋いだ技術と歴史」の一部をご紹介いたします。

まず、こちら。何だと思いますか?

中之島図書館のドームに少し似ている?!

中之島図書館 ドーム

中之島図書館 ドーム

実は、ヨーロッパの女性のドレスを下から見たモノです。なんて破廉恥な! と言わないでください~💦 衣服の標本から見た西洋の歴史と文化を「衣服の構造」の専門家が解説してくださっている展覧会での展示物です。

全体像は、こんな感じ。高い位置から吊るしてあるので、ドレスの下から見ることができます。

こんなに美しいのに、大塩の時代よりも前に作られたものかも…

こんなに美しいのに、大塩の時代よりも前に作られたものかも…

別の角度から。こんな風になってるんですね

別の角度から。こんな風になってるんですね

この会場は、ガラスのない美術館【半・分解展

18~19世紀の衣服をまさしく「分解」して展示・解説されている展覧会です。

中には、二百数十年前のものも。そう、大塩のもっと前の時代の洋服を目の前で見ることができます。博物館のようにガラスケースはありません! さわれそうな距離感。いえ、さわれるんです!! 貴重な服飾資料をそっと触れさせてもらいました。

薄く柔らかく繊細な生地のドレスやしっかりとした丈夫な仕立ての乗馬服、触れてこそわかる感動!! 世が世なら、庶民の私など触ったとたんお手打ちになっていたかもしれません(笑) 贅沢な時間をくださった主催者の方へは、感謝しかありません。

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日本風のデザイン、模様のものもありました。数百年前に来日した西洋人の風貌を見て、当時の日本人は、めちゃくちゃ驚いたでしょうね。そして、強い興味を持ったのでは? 当時の衣服だけ見ても、現代人がこんなに感動するんですから。同様に、当時の西洋人もお互いの衣服に憧れたことを実感します。

大阪での会期はあと少しですが、webなどで詳しく発信されているので、上のリンクからぜひご覧になってください。

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興味津々の数ある展示物の中で、私がひと際引きつけられたのが、これ。

「鉛白」です。

こんな間近でみたのは初めてです。

1760年頃に作られた上流階級の方のコートのポケットに入っていたものだそうです。

鉛白(えんぱく)・・・いわゆる「白粉(おしろい)」です。

白粉は、日本では持統天皇の時代からあり、堺が製造の発祥地で、江戸時代には一般にも普及したようです。

人種・階級を問わず、美を求める心は果てしなく、美の為なら命を削ってでも…。

そう、鉛白は毒です。まさしく命がけで求めた美なのです。

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もしかして、大塩の奥さま、ゆうさんも堺の白粉を使ってらしたのでしょうか。お体に影響がなかったのか、心配です。

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白い肌を求めて、男女問わず欲した「白粉」。実際には、どのような白さだったのでしょうか。

江戸の女性が現代に現れると、こんな感じです。

「毒展」大阪会場にて

「毒展」大阪会場にて

江戸時代の人の骨格から複眼したお顔に白粉を塗って、現代のLEDの明かりの下の女性の姿です。いかがですか?

当たり前ですが、江戸時代には、LEDも蛍光灯もありません。

行燈の明かりのお部屋に移動していただくと…、

「毒展」大阪会場にて

「毒展」大阪会場にて

いかがでしょうか。私の感想は、あえて控えさせていただきますね。それぞれのお心の中で感想をつぶやいでくださいませ。

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数百年前の西洋の文化に触れ、改めて「天保」の人々に思いを馳せたひとときでした。

そして、普段、紙の史料(古文書類)に目が行きがちな私たちですが、衣服も往時を知る重要な史料(標本)であることを再認識させられました。


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※参考

『半・分解展』

『中之島図書館 第77回大阪資料・古典籍室小展示「べっぴんさんへの道」』

『毒展』大阪会場 於:大阪市立自然史博物館 会期:2023年3月18日(土)〜5月28日(日)

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